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先日公認会計士協会の「経営改善計画策定支援事業に関する研修会」題する研修を受けました。

経営改善計画策定支援事業とは

中小企業・小規模事業者を対象として、中小企業経営力強化支援法に基づき認定された経営革新等支援機関(以下「認定支援機関」という。)が中小企業・小規模事業者 の依頼を受けて経営改善計画などの策定支援を行うこと

(中小企業庁Web「認定支援機関による経営改善計画策定支援事業を経営改善支援センターで開始します」より)

です。公認会計士・税理士も支援認定機関と想定されていて、会計士協会でも経営改善計画策定支援事業について啓蒙活動を行っています。

ここでの経営改善改善計画は

  1. 対象:財務上の問題を抱えている中小企業・小規模事業者
  2. 目的:金融機関の支援を受けて事業再生を図る

事を想定しています(研修テキストより)。

研修の内容も金融機関の支援を受ける為に必要な事に多くの分量が割当てられていました。これは金融機関(銀行)から融資を受けると言う意味でも非常に示唆に富んでおります。今回の記事は研修内容から金融機関の融資を受けられる事業計画の策定についてご紹介します。関連記事はこちら

金融機関(信組・信金)は中小企業を助けたいと思っている

これは単なる気休めとか情緒的な話ではなくて、金融機関の監督官庁である金融庁が「中小・地域金融機関向け監督方針」の中で以下のように規定しています

金融機関は、資金供給者としての役割のみならず、顧客企業に対するコンサルティング機能の発揮を通じて、中小企業をはじめとする顧客企業の経営改善等に向けた取組みを最大限支援していくことも求められる

(「中小・地域金融機関向け監督方針」II-4-1より)

貸付けの条件の変更等を行った顧客企業から新規の信用供与の申込みがあった場合であって、新規の信用供与により新たな収益機会の獲得や中長期的な経費削減等が見込まれ、それが顧客企業の業況や財務等の改善につながることで債務償還能力の向上に資すると判断される場合には、積極的かつ適時適切に新規の信用供与を行うよう努める。

(「中小・地域金融機関向け監督方針」II-5-2-1(3)②より)

上記の通り、実は金融庁の金融機関監督方針の中で、金融機関(信組・信金)は中小企業を支援する事を求められています。また債務償還能力の向上に資する場合には積極的に信用供与を行うようにする事が求められています。

銀行の融資態度が厳しくなる理由

一方、過去の不良債権問題の反省から金融機関は財務体質健全化の規制を受けています。野放図な融資によって不良債権を抱える事はできない状況です。

不良債権かどうかは自己査定によって判断しますが「金融検査マニュアル」という客観的な基準に拠らなければなりません。

銀行は「金融検査マニュアル」に従っているかどうかを、銀行内部の検査、会計士の監査、金融庁の検査で厳しくチェックされます。特に金融庁の検査は厳しいそうです。検査の結果、不要債権額が大幅に増加し銀行の業績や財務体質に大きな影響が出る事もあります。銀行は後から金融庁の検査で「金融検査マニュアル」違反とされる事を非常に恐れています。

融資の必要な場合は得てして業績が低調であり、そのような事業者に対する貸出しは債権区分のランクを低く査定されてしまい、銀行は引当損の計上が必要、あるいは新規融資ができなくなってしまう事もあります。このように銀行としても金融庁の検査に耐えうる査定をした上で利益を上げるため融資態度が厳しくなってしまう面があります。

「金融機関の立場・求めている物」を理解するとお金が借りやすくなる

金融機関からすると経営状態が悪い融資先を支援したいが自行の財務体質は悪化させたくないという背反した立場にあります。これを解決するヒントが「中小・地域金融機関向け監督方針」と「金融検査マニュアル」に実はあります。

「中小・地域金融機関向け監督方針」に戻ると

新たな収益機会の獲得や中長期的な経費削減等が見込まれ、それが顧客企業の業況や財務等の改善につながることで債務償還能力の向上に資すると判断される場合

(「中小・地域金融機関向け監督方針」II-5-2-1(3)②より)

は融資を行うこととされています。また「金融検査マニュアル」では

ただし、金融機関等の支援を前提として経営改善計画等が策定されている債務者については、(中略)経営改善計画等が合理的であり、その実現可能性が高いものと判断し、当該債務者は要注意先と判断して差し支えないものとする。

「金融検査マニュアル」P211より

とされています。さらに「中小・地域金融機関向け監督方針」では、

経営再建計画や課題解決の方向性が、実現可能性の高い抜本的な経営再建計画に該当する場合には(中略)、当該経営再建計画や課題解決の方向性に基づく貸出金は貸出条件緩和債権には該当しないこととなる。

(「中小・地域金融機関向け監督方針」II-5-2-1 顧客企業に対するコンサルティング機能の発揮(3)(注)、より

とされています。

計画があれば融資を受けられる場合がある

以下の様な

  • 「収益獲得機会や経費削減等が見込まれる」場合には融資信用供与に努める、
  • 「経営改善計画等が合理的であり、その実現可能性が高い」場合には破綻懸念先でも要注意先と判断できる、
  • 「実現可能性の高い抜本的な経営再建計画に該当する」場合には貸出条件緩和債権に該当しない

規定を活用すれば、銀行は融資できるし、融資しても不良債権扱いとして自己査定を下げなくても済みます。このように金融機関は「計画」により「収益獲得機会や経費削減等が見込まれる」事で経営状態が悪い融資先を支援しつつ財務体質の悪化を免れる事ができます。

次回は計画の策定についてご紹介します

今回は金融機関が金融支援を行うに当たって「計画」の意義をご紹介しました。次回以降は「金融検査マニュアル」や「監督方針」で規定されている「計画」の内容と策定のポイントをご紹介します。

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