前回の記事から引続き、「経営改善計画策定支援事業に関する研修会」の内容をもとに金融機関が納得する事業計画についてご紹介します。関連記事はこちら
- 金融機関(銀行)が納得する事業計画
- 金融機関(銀行)が納得する事業計画(その2)
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- 金融機関(銀行)が納得する事業計画(その5)
- 金融機関(銀行)が納得する事業計画(その6)
- 金融機関(銀行)が納得する事業計画(その7)
事業計画・プロフィールの記載(その2)
前回の記事に引続き、中小企業庁の「経営改善計画書」のサンプルの「企業集団の状況」以降をご紹介します。
企業集団の状況
「企業集団の状況」において事業者の資本関係・人的関係・取引関係を記載します。
皆様ご承知の通り企業グループの1社だけの財政状態・経営成績では事業評価の情報として不十分です。金融機関(銀行)に対して企業グループ全体の財政状態・経営成績をもって事業の内容を理解・評価してもらう必要があります。その為に「企業集団の状況」において企業グループの全体像を記載します。
また企業グループの内での資本・人・取引関係や債権債務関係を整理することで、例えば似たような役割を複数の会社で実施している、利益をあげているグループ会社、あげていないグループ会社など、経営改善に必要な情報を入手できます。
金融機関(銀行)などの関係者目線ではグループの人的関係、すなわち会社と経営者やその親族個人との取引・債権債務関係についても重視しています。会社とその経営者の取引は恣意的に行われる場合があり、取引の必要性や合理性、条件の妥当性など金融機関(銀行)の関心のあるところです。これらについても、重要な取引を漏れなく正しく記載し、必要性がない取引は整理縮小する計画を策定する必要があります。
グループの範囲としては会社計算規則112条4項に規定されている関連当事者を目安にすることが考えられます。
これに関連して「債務者概況表」の財務数値も簡易的にグループ連結ベースで作成することも考えられます。
事業の内容の記述
ビジネスモデル俯瞰図
「ビジネスモデル俯瞰図」においてはビジネスモデルの概要を記載します。
ビジネスモデル傭敵図(ビジネスフロー図)を明示することで、会社の事業内容が一目でわかるよう、事業構造(拠点、商流、資金の流れ等)、経営資源(製造拠点、営業拠点、従業員、関係会社等)を概括的に記載します。
研修では記載例として以下の内容を紹介していました。
- 主要な取引関係者
- 主要な取引関係者との間の物流、商流、資金の流れ、取引金額、債務保証・デリバティブ取引等
- 製造工程等
- 拠点が複数ある場合には、これら複数の拠点
- 役員とその親族との間の取引関係(営業取引、営業外取引)
- 役員とその親族と関係のある会社、これら会社との間の取引関係(営業取引、営業外取引)
- グループ会社との間の取引関係(営業取引、営業外取引)
前回の記事の「概要・現状と課題認識」でも述べましたが、「概要」と「ビジネスモデル俯瞰図」で以上の他にビジネスの現状分析を記述する事が考えられます。会社の現状(支援が必要となった原因)を外部環境と内部環境に区分して分析する事によって、それに対する経営改善計画の具体策を説明する「計画全体の流れ」を作ります。分析内容として以下の項目が考えられます。
- 外部環境
- 自然災害
- 為替変動
- 業界衰退
- 内部環境
- 過剰投資
- 大口の貸倒れ
- 大口得意先の喪失
- 管理体制未整備
- ガバナンス欠如
また会社の強みについても内部環境と外部環境に区分して分析・記述して事業の収益源泉を明示する事で将来展望をアピールすることができます。「強み」を伸ばし、「弱み」をカバーし、「機会」を視野に入れ、「脅威」を防御する、ことを、諸施策と数値計画の中で明示できるように記載します。
資金実績表
「資金実績表」において過去の資金繰りの実績を記載します。中小企業庁の「経営改善計画」サンプルでは月次の資金繰りですが、過去3年~5年程度の年単位の資金繰りについても記載することが考えられます。
また「資金実績表」だけではなく「貸借対照表」、「損益計算書」の要約を時系列的に記載する事も推奨されています。時系列で財務数値を比較し会社の状態や現状に至った要因を分析することができます。
研修では分析の切り口として以下の例を紹介していました。
- 「売上」「原価」「販管費」「営業利益」「借入残」等の簡単な数字を過去10期程度ならべ、変化点と整合性に注目する
- 変化点:(例)売上急減の要因は?(顧客、製品)(数量、価格)
- 顧客の生産計画の調整
- 顧客からの原価低減(発注単価)要請
- 納期遅れおこし、顧客からの再三の改善要請が担当ベースで処理され営業責任者に伝わらず失注・転注
- 整合性:(例)売上が減少しているのに製造原価は増加している。
- 設計ミスから多数の不良品が発生、作り直しの材料費、加工費が発生
このように時系列で分析することで会社の課題や弱みを発見するヒントになる事があり有効です。
「計数計画・具体的な施策」は次回以降の記事でご紹介します
今回は中小企業庁の「経営改善計画書」のサンプルの「6.資金実績表」までについてご紹介しました。「7.計数計画・具体的な施策」は次回以降の記事でご紹介します。
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