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前回の記事から引続き、「経営改善計画策定支援事業に関する研修会」の内容をもとに金融機関が納得する事業計画についてご紹介します。関連記事はこちら

今回は中小企業庁の「経営改善計画書」のサンプルを使って事業計画に記載する具体的内容についてご紹介します。

「経営改善計画書」の構成

「経営改善計画書」の構成は以下のようになっています。金融機関向けの事業計画の雛形として利用できます。

  1. はじめに
  2. 債務者概況表
  3. 概要
  4. 企業集団の状況
  5. ビジネスモデル俯瞰図
  6. 資金実績表
  7. 計数計画・具体的な施策
  8. 実施計画

1.~4.までが、会社のプロフィールに相当する部分です。5.が具体的な事業の内容を記載する部分です。6.でそれまでの資金繰りの実績を記載します。7.からが将来の施策と計画の内容を記載します。8.で計画終了時点での会社の姿を数字で記載します。

事業計画・プロフィールの記載

プロフィール部分では会社の概況を説明します。

1.はじめに

「はじめに」で会社の歴史と現状、業界の状況、改善課題等を折り込みつつ関係者に対して計画の概要を説明します。

ここで関係者に対して儀礼的な記載もしますが単に形式的な「お飾りの挨拶」ではないと認識するべきです。前回の記事でご紹介した様に計画の実現可能性は関係者の協力が不可欠です。また事業計画・経営計画は、会社の行動指針であり、金融機関を始めとする関係者への宣誓書です。「はじめに」が明らかに通り一遍の内容であるのと、社長の言葉で関係者に対する所信や決意を表明し協力を仰ぐのとでは金融機関を始めとする外部関係者の受取り方が違ってきます。長々書く必要はありませんが少なくとも社長自身が記載内容を全て理解し納得している必要はあります。

2.債務者概況表

会社の状況をとりまとめた資料です。ここで端的に会社の事業の内容、財政状態・経営成績、資金繰りの状況、抱えている課題、経営計画の方針を要約します。中小企業庁の計画書サンプルでは独立項目扱いですが「概況」に含める事も考えられます。計画書サンプルにおいては以下の項目が記載内容となっています。

  1. 対象先・概要
  2. 財務内容及び問題点
  3. 業績推移等
  4. 銀行取引状況
  5. 現状と認識課題
  6. 経営改善計画策定方針

ポイントを幾つか挙げます。「財務内容及び問題点」の部分で「決算」と「実質」という欄があることです。良い悪いは別にして中小企業の決算書は実態とかけ離れている事が多いと金融機関は考えています。減価償却を止めたり、在庫の過大計上や、有価証券の含み損などで資産が過大となったり、債務の計上漏れ、必要な引当の未計上などで負債を圧縮したりという事は珍しくありません。金融機関(銀行)もそこは承知の上であえて「決算」と「実質」の欄を分けた資料の雛形になっています。普段から会計基準に則った決算を行っているれば良いですがそうでない場合は決算書を修正し実質に則った数字で資料を作成する必要があります。あくまで実質の数字を出すことが大切です。後から隠れ債務や過大資産が出てくると金融機関(銀行)など関係者の心証を害します。

「現状と課題認識」や「経営改善計画策定方針」の記載は後の「計数計画・具体的な施策」にリンクしますので、現状と課題を端的に箇条書きして記載します。

「銀行取引状況」の記載は各金融機関(銀行)との取引の内容を記載します。言うまでもありませんがここも実質の数字を出すことが大切です。すべての銀行との取引を漏れなく記載してください。後から記載されていない借入金や預金が出てくると関係者の心証を害し協力を得ることが難しくなります。

3.概要

概要では計画の概要と会社の現状認識を記載します。財務計画書サンプルにおいては以下の項目が記載内容となっています。

  1. 課題・問題点
  2. 計画の基本方針
  3. 計画期間、改善目標等

「課題・問題点」後の「企業集団の状況」、「ビジネスモデル俯瞰図」と併せて事業上の課題(弱み及び強み)や市場動向について記載します。財務面、資金面の課題、経営面での課題も記載します。その他必要に応じて補足資料として「部門別損益」、「社内業務フロー」、「設備の状況」、「競合との比較」などの資料と併せて会社の現状を記載します。

「計画の基本方針」では計画の基本方針を記載します。特に「課題・問題点」との整合性を考慮し、そこで記載した誘題への対処や強みの強化などを検討して記載します。またここで金融機関(銀行)などの関係者に対する支援要請内容を記載します。追加の融資・返済スケジュールの変更・利率の引下げ等何を求めたいのか記載します。

「計画期間、改善目標等」において計画の期間と計画の目標を記載します。前回の記事でご紹介しましたが計画期間が余りに長期に渡ると実現可能性の説明が難しくなります。希望的観測で期間を短縮するべきではありませんが程々の期間(おおむね5年)をめどとする方が関係者は合意しやすいと考えられます。また計画の進捗段階ごとの改善目標もここで記載します。計画は作ってお終いではなく、後日達成状況をモニタリングされます。計画どおりに進捗しなかった場合、下振れ.上振れ、いずれにせよ、その原因を明らかにする必要があります。実績との比較・分析がし易いような計画の組み立てを考え、計画策定する必要があります。

「企業集団の状況」は次回以降の記事でご紹介します

今回は中小企業庁の「経営改善計画書」のサンプルの「3.概要」までについてご紹介しました。「4.企業集団の状況」は次回以降の記事でご紹介します。

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