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前回から引続き平成26年度税制改正大綱についてご紹介します。今回は税制改正大綱前半の「消費税率及び地方消費税率の引上げとそれに伴う対応について」の「収益力の飛躍的な向上に向けた経営改革の促進」についてです。

事業再編を促進するための税制措置

「収益力の飛躍的な向上に向けた経営改革」とは大胆に事業再編を行って競争力を回復させ,海外企業と戦えるような会社を作ろうとする事を想定しています。

平成26年度税制改正の大綱では税制上の施策として、

  • グローバル競争で勝ち抜く企業の創出、新事業の拡大を後押しするため、事業の切り出し・統合を行う企業に対して、出融資額の7割を限度として損失準備金を積み立て、損金算入できる制度を創設。過当競争・過剰供給構造を解消し、収益力の飛躍的な向上に向けた取組を後押し。
  • 産業競争力強化法に規定する認定事業者等が事業再編にともなう株式会社設立等に係る登録免許税の税率軽減

が行われます(民間投資活性化等のための 経済産業関係 税制改正の概要、P11,13より)。

事業再編を促進するための税制措置の創設

大企業がひしめき合って各社の業績が悪化している業態(造船や石油精製などの業界を具体的には想定)の事業再編を促進する制度として、産業競争力強化法では「特定事業再編」が規定されています(第2条12項)。

ある事業を切り出して、再生するということになるとさまざまな損失が発生します。「特定事業再編」を促進する為の税制上の対策として、新しく切り出した会社の出資にかかる損失ついての制度が創設されます。

特定事業再編に係る産業競争力強化法に規定する特定会社の特定株式等の取得価額の70%以下の金額を特定事業再編投資損失準備金として積み立てたときは、その積み立てた金額はその事業年度において損金算入できる、事とされます。そして、積立期間は最長10年で積立期間終了の翌事業年度から5年間で準備金残高の均等額を取り崩して、益金算入する。 とされています。

最長10年間損金参入を前倒しし、その後5年間で課税してゆくイメージです。

上の通り造船や石油精製など、大企業がひしめき合っているような業態を想定していますが、もちろん他の業態や中小企業もこの制度を活用でいます。

事業再編を促進するための税制措置の要件

平成26年度税制改正の大綱では、事業再編促進税制適用の要件を

  • 産業競争力強化法の施行の日(平成26年1月20日)から平成29年3月31日までの間
  • 認定を受けた特定事業再編計画に記載された特定事業再編に係る特定会社の特定株式等の取得をしている
  • 取得価額の 70%以下の金額を特定事業再編投資損失準備金としてその積立期間内に積み立てる

特定事業再編

上で述べたように「特定事業再編」は産業競争力強化法第2条第12項に規定されています。そして事業再編促進税制の適用を受けるには「特定事業再編計画」(第26条)の認定を受ける必要があります。

計画が認定を受けるための要件は、現時点では事業再編の実施に関する指針(条文案)(案件番号:595113068)にそったものになると思われます。指針では主に下記の要件が規定されています。

  • 事業再編による生産性向上に関する目標、次のいづれかを達成
    1. 計画の終了年度において総資産営業利益率が2%以上改善
    2. 計画の終了年度において有形固定資産回転率が5%以上改善
    3. 計画の終了年度において従業員一人当たり付加価値額の値が6%以上改善
    4. 1から3のいずれかに相当する他の指標の改善が達成
  • 事業再編による財務内容の健全性の向上に関する目標、次のいずれも達成
    1. 計画の終了年度において債務償還年数が10年以下(有利子負債合計額から、現金預金及び信用度の高い有価証券等の評価額並びに運転資金の額を控除した額を、当該終了年度における留保利益の額に減価償却費及び前事業年度からの引当金増減額を加算した金額で除した値が10以下)
    2. 計画の終了年度における経常収入の額が経常支出の額より大きい値となること

特定株式

「特定株式の取得」を事業再編促進税制の適用要件としています。この特定株式とは

設立若しくは資本金の額等の増加に伴う金銭の払込み、合併、分社型分割若しくは現物出資に伴い取得する特定会社の株式(出資を含む。)又はその特定会社に対する貸付金に係る債権

であり、認定事業再編計画に基づく事業再編によって設立される会社の株式が該当します(第34条1項)。

登録免許税の軽減措置

認定を受けた計画に基づき行う株式会社の設立等に登録免許税の税率軽減措置が創設されます。

ベンチャー投資促進税制と同じ様に登録免許税が登録免許税が半額というイメージです。

「設備投資につながる制度・規制面での環境整備への対応」以降の税制改正について次回ご紹介します

事業再編促進税制の概要をご紹介しました。「設備投資につながる制度・規制面での環境整備への対応」以降の税制改正大綱については引続き次回の記事でご紹介します。

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