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出荷と検収が施行日をまたぐ場合に適応する税率

平成26年1月24日追記、国税庁より「消費税率引上げに伴う資産の譲渡等の適用税率に関するQ&A 」(以下新Q&A)が公表されました。新Q&A問1では、売上側の譲渡等の日が仕入側にも適用される旨明記されています。よって、売上側の出荷日を基準に仕入側も同じ税率が適用されます。

出荷基準と検収基準の税率ギャップ

現行の会計税務慣行では売上側は出荷基準で売上計上を行う場合が殆どです。一方仕入側は検収基準で仕入計上する事が多いでしょう。

平成26年3月31日(施行日前)出荷4月1日(施行日後)入荷検収の場合、売上側が3月31日の課税売上とすれば旧税率により消費税計算を行いますが、仕入側が4月1日の課税仕入とすれば新税率により消費税計算を行う事になります。この売上側と仕入側の税率ギャップが問題となります。

税務弘報での議論

税務弘報の9月号でこの議論が紹介されていました。

売上側と仕入側で税率ギャップを容認する説

税率ギャップがある事を許容する根拠として以下が紹介されています。

  • 課税仕入れに係る消費税額は「支払対価の額に105分の4(註・税率)を乗じて算出した金額をいう」と規定されている。売上側の請求書の税額(税率)に基づいて計算する規定になっていない。ルールもない。
  • 日本の消費税というのはインボイス制度を採用していないため,請求書に記載されている金額が5%だからといって,それに従わなければいけないという構成にはなっていない
  • 施行日後の課税標準(売上)計算は税率アップ分の転嫁ができない場合でも新税率を適用する、課税仕入の税率ギャップも同様に新税率を適用すればよい。

売上側の税額計算とそれに基づく請求書の税率に仕入側は影響されないという議論です。

その前提には

現行条文上は売り手,買い手それぞれがそれぞれの基準で売上費用を認識してください,そのときの適用税率で処理してくださいとなっています。(本文より)

という原理原則を守るのが正しいという考え方があると思われます。

税率ギャップを許容しない説

一方、明らかに旧税率だとわかっているものは旧税率で仕入税額控除すべきだという考え方もいます。その根拠は

  • 明文化されたルールはないが当然に解釈できるようなことならば,書いてなくてもそのように解釈すべき
  • 国税庁Q&A問5は、「請求書等に適用税率を明記し取引の相手方は当該請求書等に記載された税率により」返品の消賀税額を計算するとあり、請求書に基づく税額計算を認めている。よって請求書に基づく計算が認められないという事はない。
  • 3%から5%への引上げの際にも、相手方から旧税率の表示で請求が来た場合は,旧税率で税額控除しなさい,もしくはしてほしいというような議論が多かった。

売上側の税率と仕入側の税率は一致しているべきだという議論です。

その前提には

確かに,消我税の本来の構成から言えば売上と仕入れとが整合していることを想定しているでしょうね(本文より)

という原理原則を守るのが正しいという考え方があると思われます。

東京税理士界での議論

税理士会の機関紙「東京税理士界」平成25年10月号で、この議論が掲載されていました。「東京税理士界」の議論は上の議論の折衷説のようなところで、原則は売上側、仕入側の収益計上基準、仕入計上基準による税率の処理をみとめつつ、請求書基準による事を容認しているという議論でした。

平成26年1月21日追記、東京税理士界の記事全文はこちらからご覧いただけます。

原則

出荷日が平成26年3月31日(施行日前)で、商品到着日が4月1日(施行日後)。売上側が出荷日に売上計上し仕入側が到着日に仕入計上している場合を前提に

課税売上に係る消費税額の計算は改正前の税率を適用し、課税仕入に係る消費税額の計算は改正後の税率を適用して計算する。(本文より)

としています。つまり、売上側と仕入側で税率ギャップのある計算を肯定しています。

その理由は「税務弘報」の説とほぼ同じで、資産等の譲渡の日は引渡日であり(基本通達9-1-1)、引渡日として合理的に認められる日のうち事業者が継続して譲渡を行った事としている日(同9-1-2)であること。課税仕入の日は9章の取り扱いに順ずる、つまり譲渡の日と同じにとりあつかう(同11-3-1)とされていること、を最大の根拠にしています。

請求書基準の容認

一方、請求書の税額(税率)に基づく仕入側の仕入税額の計算も

事業者間取引等においては、仕入税額控除をする場合の保存要件とされている請求書等に税抜きの対価の額と消費税額等を区分して記載し、その記載された消費税額等に基づき課税標準額に対する消費税額及び課税仕入等に係る消費税額の計算を行い、実務上も認められている

ことを理由に実務上認められるとしています。また、

課された税額を控除すると言う仕入税額控除の趣旨にも沿う妥当な処理

であるとも言っています。「税務弘報」の売上と仕入が整合していることを想定している、という事と同じ趣旨ですね。

平成26年1月21日追記、東京税理士界の記事全文はこちらからご覧いただけます。

実務上の対応

平成26年1月24日追記、国税庁より「消費税率引上げに伴う資産の譲渡等の適用税率に関するQ&A 」(以下新Q&A)が公表されました。新Q&A問1では、売上側の譲渡等の日が仕入側にも適用される旨明記されています。よって、売上側の出荷日を基準に仕入側も同じ税率が適用されます。

現在国税当局から公表されている通達などの規範からすると、売上側出荷基準、仕入側検収基準で税額計算を行う事に問題があるとはいえないと思います。

ただ、売上側5%、仕入側8%で計算すると3%分は税務当局にとっては捕捉漏れになってしまうため、特に仕入側の検収基準適用を厳密に行う体制になっていないと、当局との「見解の相違」が生じる余地となるのは否定できないと思います。

一方、実際のところ仕入計上で検収基準を厳密に適用してる事業者がどれくらいいるのかというとそれほど多くないのかもしれません。その場合は仕入先からの請求書に基づく仕入計上が実務上行われている事を考えれば、請求書基準による消費税計算を許容すると言うのは妥当なところだと思います。

本当はこういうこともQ&Aに折り込んで欲しいところですが、あえてグレーにしてあるのかもしれません。

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