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その他有価証券に区分している市場性の無い種類株式(転換株式)を市場性のある普通株に転換して売却する事例について。会計上と税務上の取扱をどうするか検討する機会がありました。

当該種類株は市場性が無いので売却先を見つけて相対取引によって売却するか普通株に転換して市場で売却することになります。市場性の無い有価証券の相対取引は機動的に行う事が難しいため、普通株に転換して売却する事を一義的に検討しています。

優先株だけでなく普通株も保有している場合に転換した普通株と既存の普通株の簿価通算をどう考えるかが議論になりました。

今回、会計士数名との直接間接の意見交換する機会がありましたので差し支えない範囲でご紹介します。

簿価通算について会計上の取扱

転換した普通株を売却すると考えるか優先株を売却すると考えるか

種類株式を普通株式に転換するという行為と普通株を売却するという行為を一連一体の行為として捉えるべきか否かが判断の基準になるという所で見解は一致しました。

  • 普通株に転換してから売却するまでの期間
  • 転換した株式数と売却した株式数が一致しているか大きく違うか
  • 既存の普通株と簿価通算した場合、しなかった場合に極端に実態と乖離する影響があるか
  • 取引主体の意図

などを総合的に判断すれば、どちらの方法もあり得るという意見が大半でした。(既存普通株と簿価通算すべきという見解の方も1名いらっしゃいました)

これらの判断要素普はそれぞれ通株に転換してから売却するまでの期間が長いほど、株数に差があるほど、簿価通算しない場合に極端な結果となるほど、簿価通算しない意図が経済合理性から外れているほど、一連一体と考えず普通株転換とその売却は別の行為と捉えるべきではなく、普通株の簿価通算によるべきと判断されます。逆であれば優先株そのものを売却したと取扱うべきと判断されます。

簿価通算について税務上の取扱

法人税法基本通達2-3-17

法人税法基本通達2-3-17においては

他の法人の発行する一の種類の株式と他の種類の株式とを有する場合には、それぞれ異なる銘柄として令第119条の2第1項《有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出の方法》の規定を適用する

とあり、種類株と普通株は異なる銘柄として扱われる事が明記されています。

一方、

権利内容等からみて、その一の種類の株式と他の種類の株式が同一の価額で取引が行われるものと認められるときには、当該一の種類の株式と他の種類の株式は同一の銘柄の株式として、同項の規定を適用する

とあります。権利内容等が同じであれば同一銘柄とされるわけです。

施行令119条の2第1項

法人税法基本通達2-3-17で参照している施行令119条の2第1項においては

有価証券の譲渡に係る原価の額を計算する場合におけるその一単位当たりの帳簿価額の算出の方法は、次に掲げる方法とする。

  • 移動平均法
  • 総平均法

とされています。そして移動平均法と総平均法の説明として

有価証券をその銘柄の異なるごとに区別し

とされていて、銘柄が同じであれば移動平均法か総平均法で簿価を計算する事が規定されています。つまり種類株を普通株に転換したら既存の普通株と簿価通算を行うというのが税法の姿勢のようです。

会計上と税務上で売却原価が異なる取扱ができるか

税効果を適用するか

会計上は簿価通算しない方が正しい場合もあり得るのに対し、税務上は簿価通算するというのがルールです。よって会計上と税務上で売却原価が異なり、残っている普通株の簿価が税務上で会計上で差異が生じる事もありえます。というか、税効果会計の考えからすると簿価通算しない方が会計上より妥当であれば差異が発生し税効果会計を適用するべきという事になります。

一方、普通株に転換した事によって税効果会計を適用し一時差異を識別するという事例はあまり聞いた事はありません。会計上も普通株に転換して簿価通算する事が間違っているとも言えないので、そこで税効果を適用する必要は無い(正直面倒)という雰囲気になりました。

税務上も損益通算しない事は認められないか

私の個人的少数説ですが施行令119条の2で言う銘柄が異なるごとに区分というのは、有価証券の取引を銘柄ごとに損益計算するという当然の事をいっているだけで、今回のような市場性のない種類株式を便宜上普通株式に転換するような場合を想定しているわけではなく、逆に通達2-3-17の種類株は別銘柄扱いという趣旨を生かすため、簿価通算をしないという考え方もあり得ると思っています。

議論の大勢は施行令119条の2第1項の通り税務上も会計上も取扱うのが無難というところでした。私が引っかかるのは会計的には取引の実態から簿価通算すべきでない場合もあり得るという結論があるにもかかわらず、税効果を適用しないで税務の規定に従うのは税効果会計の趣旨に反しているような気がする点です。会計と税務で差異を出さないのであれば取引実態に合わせて税務的な処理を行う事にしても問題ないのではないかという考えからです。

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