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消費税率引上げに伴う個別論点のうちリース取引の論点をご紹介します。リースは資産の賃借に係る論点や、リース取引に関する会計基準の論点など混乱しやすいところがありますので自分の理解の整理の意味もこめて今回取り上げました。

おさらい。会計でのリース取引の取扱い

リース取引会計基準ではリース取引を「オペレーティングリース」と「ファイナンスリース」に分類します。「ファイナンスリース」とは「解約が実質的に不能(ノンキャンセラブル)」かつ「借手がリース資産を使用することに伴う便益と費用を実質的に負担する(フルペイアウト)」という要件を満たすリース取引で、「オペレーティングリース」は「ファイナンスリース」以外のリース取引です(リース取引に関する会計基準5項6項)。

「オペレーティングリース」は賃借処理、つまり資産の貸し借りとして、借手はリース料を費用計上し貸手は収益計上します。「ファイナンスリース」は売買処理、つまり借手はリース資産を購入したものとしてリース資産とリース債務を計上します。リース資産は減価償却を行い、リース債務はリース料のうち元本相当で返済し利息相当額は財務費用計上します。お金を借りて資産を買ったものとして処理するのです(リース取引に関する会計基準9項15項)。

なお平成19年にリース取引会計基準が改正され、平成20年4月1日以降開始事業年度からそれまで賃貸処理が容認されていた所有権移転外ファイナンスリース取引も原則売買処理が強制されるようになりました。

おさらい。税務でのリース取引の取扱い

リース取引会計基準の改正に伴い、平成19年税制改正によって税法上も平成20年4月1日以後に締結するリース契約から、所有権移転外ファイナンスリースは資産の譲渡として取り扱われることになりました(法人税法64の2条法人税法施行令131の2条)。つまり税務上ファイナンスリース取引は資産の売買として取り扱われます。

ここで注意が必要なのは税務上「リース取引」と言ったとき、それはファイナンスリース取引を指すということです。オペレーティングリース取引は「リース取引」には含まれず賃借取引になります。

またリース会計基準では重要でないファイナンスリース取引は賃借取引処理することが認められています(リース取引に関する会計基準の適用指針34項)。一方税務上は重要性による簡便的な取扱いの規定がありません。よってルールを厳格に適用すると会計上重要性が無く賃借取引処理しているリース契約であっても税務上は売買取引として取り扱われる事になります。この取扱いは消費税に関しても同様です(基本通達5-1-9)。

消費税率引上げに伴う対応(原則)

税務上のリース取引はすべて売買処理が原則です。よって、売買時点での消費税率を適用します。一方賃借取引(会計上のオペレーティングリース取引と通常の賃借取引)は資産の賃借とされます。よって、貸付期間の税率を適用します。

消費税引上げに伴う対応(経過措置)

経過措置Q&Aの35に資産貸付の経過措置の概要があります。

旧税率が適用される契約として

  • 平成8年10月1日から指定日の前日(平成25年9月30 日)までの間に締結した資産の貸付けに係る契約に基づく
  • 施行日前から引き続き当該契約に係る資産の貸付けを行っている場合

下記の1および2又は1および3に該当する取引は施行日後の貸付であっても旧税率(5%)が適用されます。

  1. 貸付期間及びその期間中の対価の額が定められている
  2. 当該対価の額の変更を求めることができる旨の定めがない
  3. 解約の申入れをすることができる旨の定めがないこと並びに当該貸付けに係る資産の取得に要した費用の額及び付随費用の額の合計額のうちに当該契約期間中に支払われる当該資産の貸付けの対価の額の合計額の占める割合が 100 分の 90 以上であるように当該契約において定められている

要件3が適用される取引

繰返しになりますが、ファイナンスリース取引は税務上売買取引として扱われます。一方、資産貸付の経過措置の要件3で「解約の申入れをすることができる旨の定めがない(ノンキャンセラブル)」「費用の額及び付随費用の額の合計額のうちに当該契約期間中に支払われる当該資産の貸付けの対価の額の合計額の占める割合が 100 分の 90 以上(フルペイアウト)」という文言があり、あたかもファイナンスリース取引が資産貸付の経過措置の対象であるかの様です。この要件3がどの様な取引を対象としているか解りにくいものがあります。

これは平成19年の税制改正前に締結されたファイナンスリース取引で税務上、賃貸処理されている取引で施行日後もリース取引が継続している場合を想定しているものと考えられます。

春日渡辺会計事務所は消費税率引上げに伴うご相談を承ります

春日渡辺会計事務所は文京区の会計士、税理士事務所です。春日渡辺会計事務所では消費税率引上げを始めとする会計・税務に関するご相談をお受けしております。疑問点、御用のある方はお気軽にご連絡下さい。

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