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前回の記事から間が空きましたが引き続き平成29年度税税改正についてご紹介します。今回は所得拡大促進税制についてご紹介します。

所得拡大促進税制の改正概要

この制度は

雇用者給与等支給額を増加させた場合、増加額の10%を法人税から税額控除(経済産業省「所得拡大促進税制のご利用の手引き」より)

できる制度です。

平成29年改正では

現行の支援措置(24年度からの給与増加額に10%税額控除)に加え、2%以上賃上げした中小企業は、前年度からの給与増加額に22%税額控除を適用する(賃上げに伴う社会保険料負担を上回る控除率)。(「企業行動課経済産業関係 平成29年度税制改正のポイント」より)

とされました。

また、中小企業以外の法人については、適用要件のうち、

平均給与等支給額が比較平均給与等支給額を超えていること

とされていたものが、

比較平均給与等増加割合が2%以上

に改正されました。

同じく、中小企業以外の法人については税額控除限度が

雇用者給与等支給増加額の10%

から

雇用者給与等支給増加額の10%+比較給与等増加額×2%

に拡大されました。

所得拡大促進税制の概要

所得拡大促進税制自体は平成25年度税制改正で導入されています。改正前制度と平成29年改正との変更点を中心に所得拡大促進税制の内容をご紹介します。

所得拡大促進税制適用3要件

現行制度は平成25年4月1日から平成30年3月31 日までの期間内に開始する各事業年度において、国内雇用者に対して給与等を支給し、以下の3つの要件を満たした場合、雇用者給与等支給増加額の10%の税額控除ができる制度です。

  1. 雇用者給与等支給増加額基準雇用者給与等支給額に対する割合が増加促進割合以上になっていること
  2. 雇用者給与等支給額が比較雇用者給与等支給額(前事業年度)以上であること
  3. 平均給与等支給額比較平均給与等支給額(前事業年度)を超えること

平成29年改正では、上記1と2は変わりありません。3について中小企業とそれ以外(大企業)で要件が変わりました。また中小企業について税額控除限度が拡大されました。

中小企業の場合

要件3と税額控除限度額が下記のように改正されました。

改正事項 改正前 改正後
適用要件3 平均給与等支給額が比較平均給与等支給額を超えていること 平均給与等支給額が比較平均給与等支給額を超えること(改正なし)
税額控除限度額 雇用者給与等支給増加額の10% 比較平均給与等増加割合が2%未満 雇用者給与等支給増加額の10%(改正なし)
比較平均給与等増加割合が2%以上 雇用者給与等支給増加額の10%+比較給与等増加額×12%

中小企業者以外の場合

要件3は変更ありませんが、税額控除限度額が改正されました。

改正事項 改正前 改 正 後
適用要件3 平均給与等支給額が比較平均給与等支給額を超えていること 比較平均給与等増加割合が2%以上(割合が2%未満の場合は,制度の適用なし)
税額控除限度額 雇用者給与等支給増加額の10% 左の金額+比較給与等増加額×2%

用語の意義

所得拡大促進税制適用には3要件ありますが似たような言葉が出てきてわかりにくくしています。ここで用語の整理をします。用語については経済産業省WebのQ&Aが良くまとまっていますので引用しています。

雇用者給与等支給額

雇用者給与等支給額の意義は

国内雇用者に対して支給する俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与の額で、当該適用事業年度において損金算入される金額をいいます。ただし、役員の特殊関係者や使用人兼務役員に対して支給する給与や退職手当ては除かれます。(Q7より)

です。

国内雇用者

国内雇用者の意義は

法人又は個人事業主の使用人のうち法人又は個人事業主の有する国内の事業所に勤務する雇用者((中略)賃金台帳に記載された者)をいい、雇用保険一般被保険者でない者も含みます。(Q6より)

です。ただし、役員の特殊関係者や使用人兼務役員は除かれます。

基準雇用者給与等支給額

基準雇用者給与等支給額の意義は

平成25年4月1日以後に開始する各事業年度のうち最も古い事業年度の前事業年度の雇用者給与等支給額(Q8より)

です。
つまり3月決算会社の場合平成24年度の雇用者給与支給額となります。

雇用者給与等支給増加額

雇用者給与等支給増加額の意義は

適用事業年度の雇用者給与等支給額から基準雇用者給与等支給額を引いた金額(Q9より)

です。

比較雇用者給与等支給額

比較雇用者給与等支給額は

適用事業年度の前事業年度の雇用者給与等支給額(Q13より)

です。

平均給与等支給額

平均給与等支給額は

雇用者給与等支給額から日々雇い入れられる者に係る金額を控除した金額を、適用事業年度における給与等の月別支給対象者(当該適用事業年度に含まれる各月ごとの給与等の支給の対象となる国内雇用者のうち日々雇い入れられる者を除きます。)の数を合計した数で除して計算した金額(Q15より)

です。

比較平均給与等支給額

比較平均給与等支給額は

比較雇用者給与等支給額から日々雇い入れられる者に係る金額を控除した金額を、前事業年度における給与等の月別支給対象者(当該前事業年度に含まれる各月ごとの給与等の支給の対象となる国内雇用者のうち日々雇い入れられる者を除きます。)の数を合計した数で除した金額(Q16より)

です。

経済産業省の平成27年度版手引きでは継続雇用者についての平均という表現でした。この考え方自体に変更はありません。「日々雇い入れられる者」を除くというのは、一般被保険者Q17のみを計算対象にするという意味と考えられます。

増加促進割合

適用要件1にかかる、増加促進割合は、中小企業者と中小事業者以外で下記の様になっています。

  • 中小事業者は平成29年度で3%
  • 中小企業者以外は平成29年度で5%

増加促進割合は平成27年度税制改正で引き下げられました。

比較平均給与等増加割合

比較平均給与等増加割合は

平均給与等支給額から比較平均給与等支給額を控除した金額のその比較平均給与等支給額に対する割合

です。平成29年度税制改正において新たに導入されました。

中小事業者

中小事業者とそれ以外で要件や税額控除限度額に差異が設けられています。改めて法人税法上の中小事業者の範囲を確認すると、

「中小企業者」とは,資本金の額等が1億円以下である法人又は資本金等を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人(改正前措置法施行令27条の四第6項)

のうち、下記に該当しない法人です。

  1. 発行済株式の総数等の2分の1以上が同一の大規模法人の所有に属している法人
  2. 発行済株式の総数等の3分の2以上が複数の大規模法人の所有に属している法人

個人事業者については、

常時使用する従業員の数が千人以下の個人とする(改正前措置法施行令5条の三第8項)

とされています。

次回は雇用促進税制のご紹介を予定しています

所得拡大促進税制とセットで、次回は雇用促進税制のご紹介と改正点のご紹介を予定しています。更新が進まなくて恐縮です。

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今回ご紹介した所得拡大促進税制は上記の通り大変複雑な仕組みでとなっていて疑問点をお持ちの事業者様も多いと思います。所得拡大促進税制を始めとする、各種税制の活用をご検討の皆様は渡辺会計までご相談ください。

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