やっと確定申告の時期も乗り越えました。もう新年度も迫ってきましたが、前回に引続き、平成29年度税制改正のうち「中堅・中小事業者の支援」(財務省web平成29年度税制改正の大綱(3/8))の概要をご紹介させていただきます。
中小企業経営強化税制
中小企業経営強化税制は
「中小企業投資促進税制の上乗せ措置」について、中小企業経営強化税制として改組し、全ての器具備品及び建物附属設備を対象とする。
青色申告書を提出する中小企業者等で中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受けたものが、平成29年4月1日から平成31年3月31日までの間に、生産等設備を構成する機械装置、工具、器具備品、建物附属設備及びソフトウエアで、特定経営力向上設備等に該当するもののうち、一定の規模以上のものの取得等をして、その特定経営力向上設備等を国内にあるその法人の指定事業の用に供した場合には、(中略)特別償却と(中略)税額控除との選択適用ができることとする。
ものです。
もう少し具体的に説明すると、従前の中小企業投資促進税制と、商業サービス業活性化税制の要件を満たした上で、更に中小企業等経営強化法の認定と特定経営力向上設備の要件を満たした場合の上乗せ措置を中小企業経営強化税制として統合した制度です。
よって、中小企業経営強化税制は前提となっている中小企業投資促進税制や商業サービス業活性化税制の内容を引継いだ制度になっています。この点は後で述べます「指定事業」や対象資産について表れてきます。
対象者
中小企業経営強化税制の対象は中小企業経営強化税制が中促上乗せ措置を改組した制度であることから中小企業投資促進(中促)税制と同じです。具体的には下記のとおりです。
- 中小企業者等(資本金額1億円以下の法人、農業協同組合等)
- 従業員数1000人以下の個人事業主
また、資本金額3,000万円以下の中小企業等と個人事業主は優遇が拡大されています。この点は後で述べます。
指定事業
また、適用対象となる事業の種類が「指定事業」に限定されています。この点も中促上乗せ措置と同じです。中小企業投資促進税制を前提とした指定事業と商業サービス業活性化税制を前提とした指定事業の範囲は異なっていますが、中小企業経営強化税制ではどちらかに該当していれば適用できるようです。具体的には前者は
製造業、建設業、農業、林業、漁業、水産養殖業、鉱業、卸売業、道路貨物運送業、倉庫業、港湾運送業、ガス業、小売業、料理店業その他の飲食店業(料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これらに類する事業を除く)、一般旅客自動車運送業、海洋運輸業及び沿海運輸業、内航船舶貸渡業、旅行業、こん包業、郵便業、通信業、損害保険代理業及びサービス業(物品賃貸業及び映画業以外の娯楽業を除く)
で、後者は
卸売業,小売業,情報通信業,一般旅客自動車運送業,道路貨物運送業,倉庫業,港湾運送業,こん包業,損害保険代理業,不動産業,物品賃貸業,専門サービス業,広告業,技術サービス業,宿泊業,飲食店業,洗濯・理容・美容・浴場業,その他の生活関連サービス業,社会保険・社会福祉・介護事業,サービス業(教育・学習支援業,映画業,協同組合,他に分類されないサービス業(廃棄物処理業,自動車整備業,機械等修理業,職業・労働者派遣業,その他の事業サービス業)),農業,林業,漁業,水産養殖業
指定事業とされています。
なお指定事業は
おおむね日本標準産業分類(総務省)の分類を基準として判定する。(措置法通達42の12の3-4より )
とされています。また
指定事業に該当するかどうかは、当該法人が主たる事業としてその事業を営んでいるかどうかを問わない。(措置法通達42の12の3-3)
とされています。
対象となる「特定経営力向上設備等」について
ここで言う「特定経営力向上設備等」には「生産性向上設備(A類型)」と「収益力強化設備(B類型)」があります。
「生産性向上設備(A類型)」は経営力強化法の認定を受けた生産性が年平均1%以上向上している設備、収益力強化設備(B類型)」は経営力強化法の認定を受けた、投資収益率が年平均5%以上の投資計画に係る設備です。
なお、前提として対象は「生産等設備(事業の用に直接供される設備)」であり、そうではない事務用器具備品、本店、寄宿舎等に係る建物附属設備等は対象外です。
A類型の生産性向上は工業会が確認し、B類型の投資収益率は経済産業局が確認します。B類型の経済産業局の確認にあたっては税理士等の「事前確認書」が必要です。
この制度設計は改正前の中促上乗せ措置における、「先端設備(A類型)」と「生産ライン等の改善に資する設備(B類型)」と近似したもので、繰り返しになりますが中小企業経営強化税制が中促上乗せ措置を改組したものと言われる所以です。
次回も引き続き中小企業経営強化税制のご紹介の予定です
長くなりましたので、一旦ここで区切りとします。次回も引き続き中小企業経営強化税のご紹介を予定します。
- 対象資産
- A類型適用スキーム
- B類型適用スキーム
を中心に具体的な制度活用に役立つご説明を予定しています。
中小企業経営強化税制の活用支援いたします
上述の通り中小企業経営強化税制の適用には
- 中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定
- B類型の場合の税理士・公認会計士の事前確認
が必要となります。
渡辺会計では、生産性向上設備促進税制のB類型確認申請支援や経営力向上計画の認定支援の豊富な実績を有しています。また中小企業経営強化税制の前提となる商業サービス業活性化税制の適用には認定支援機関による支援が必須となっております。
これらの税制の活用をご検討の皆様は渡辺会計までご相談ください。
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