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前回から引続き平成26年度税制改正大綱についてご紹介します。今回は税制改正大綱後半の「追加して決定する事項・所得税関連」についてです。

個人所得課税

給与所得控除の見直し

給与所得控除の上限について、漸次引き下げる、とされました(平成26年度税制改正の大綱P15より)

現行 平成28年分の所得税 平成29年分以後の所得税
上限額が適用される給与収入 1,500 万円 1,200万円 1,000万円
給与所得控除の上限額 245万円 230万円 220万円

給与所得控除は必要経費の概算計上の意味合いがあると言われています。とは言え、過去においては控除制限が撤廃、復活、そして平成26年度で引下げという経緯があります。必要経費という意味では特定支出控除の制度も併せて適用を検討するのが良いと思います。

ゴルフ会員権譲渡損失通算廃止

譲渡損失の他の所得との損益通算及び雑損控除を適用することができない生活に通常必要でない資産の範囲に、主として趣味、娯楽、保養又は鑑賞の目的で所有する不動産以外の資産(ゴルフ会員権等)を加える。(平成26年度税制改正の大綱P43より)

とされました。平成26年4月1日以後に行う資産の譲渡等について適用される見込みです。4月1日以降譲渡損失の節税効果が減少しますので、含み損があり利用する見込みのないゴルフ会員権の処分について検討する事が考えられます。

NISA口座の取扱い

非課税口座に設けられた非課税管理勘定の年分の属する勘定設定期間と同一の勘定設定期間内に、次の手続の下で非課税口座の再開設又は非課税管理勘定の再設定をすることができることとする(平成26年度税制改正の大綱P15より)。

とされました。従来はNISA口座は1つしか開設出来ませんでしたが、毎年口座を変える事ができるようになる見込みです。これは金融機関によってNISAの取扱い商品が異なる等の違いがあるため、市場の状況等を見ながら他の金融機関の口座を利用する等、投資の利便性を向上させる目的があるといわれています。

債務免除益に関する特例の創設

個人が、その有する債務について免除を受けたことにより生じる経済的な利益について、実質非課税となる特例制度が創設されます(平成26年度税制改正の大綱P32より)

事業者が債務処理に関する計画で一般に公表された債務処理を行うための手続に関する準則に基づき作成されている事に基づき免除を受けた場合において、減価償却資産及び繰延資産等の評価損の額を損金に参入できるようになる見込みです。

また、個人が破産法等により債務の免責を受ける場合、当該免除により受ける経済的な利益の額については、各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入しないことになる見込みです。

相続財産に係る譲渡所得の課税の特例

相続財産である土地等を譲渡した場合の特例について、当該土地等を譲渡した場合に譲渡所得の金額の計算上、取得費に加算する金額を、その者が相続した全ての土地等に対応する相続税相当額から、その譲渡した土地等に対応する相続税相当額とする(平成26年度税制改正の大綱P35より)。

とされました。特例の譲渡損益を計算する場合に譲渡した土地に対応する相続税の額を取得費にする扱いになり特例の枠が縮小されることになる見込みです。

税制非適格ストックオプションの買戻し

税制非適格ストックオプションについて

権利行使前にその新株予約権等の発行者に譲渡した場合には、当該譲渡の対価の額を、事業所得に係る総収入金額、給与等の収入金額、退職手当等の収入金額、一時所得に係る総収入金額又は雑所得に係る総収入金額とみなして課税することとする。 (平成26年度税制改正の大綱P22より)

とされました。平成26年4月1日以後に行う資産の譲渡等について適用される見込みです。ストックオプションは、オプションの譲渡所得として申告分離課税(租税特別措置法37条の10第1項,第2項)されますが、非適格ストックオプションの発行体への売却について給与所得として総合課税・損益通算が可能になります。

私募債利子の取扱いについて改正

同族会社が平成27年12月31日以前に発行した特定公社債以外の公社債の利子でその同族会社の株主等が平成28年1月1日以後に支払を受けるものは、利子所得の20%源泉分離課税(所得税15%、住民税5%)の対象から除外される(平成26年度税制改正の大綱P19より)。

とされました。これにより該当する利子所得は源泉分離課税から総合課税の取扱いになります。

この改正は、平成28年1月1日以後に同族会社が発行する社債に係る所得(利子及び償還金)でその同族会社の株主等が支払等を受けるものに総合課税の対象とされていること(改正租税特別措置法3条1項4号)との平衡を図るためといわれています。

雑損控除の対象となる資産損失額の現行法上の取扱いの一部改正

雑損控除の対象となる資産の損失金額について、その資産の時価を基礎として計算する方法のほか、その資産の取得価額に基づく価額を基礎として計算する方法を加える。 (平成26年度税制改正の大綱P43より)

とされました。従前からの規程では

雑損控除の対象(「災害」(1号~3号)、「盗難又は横領」(4号))となる損失額についてその資産の時価を基礎として計算する(施行令206条第3項)

とされていましたが、これが簿価を基礎とした金額と選択できる事となる見込みです。

雑損控除と損失の経費算入

なお雑損控除する金額と経費算入できる金額の規程振りについて、参考としてご紹介します。

災害、盗難又は横領による損失以外の場合は簿価を基礎とした損失金額を経費算入し、雑損控除できません(法第51条第4項《資産損失の必要経費算入》)施行令142条

一方災害、盗難又は横領の場合でも

当該損失の金額及び令第206条第1項各号《雑損控除の対象となる雑損失の範囲》に掲げる支出の額の全てを当該所得の金額の計算上必要経費に算入しているときは、これを認めるものとする。この場合において、当該損失の金額の必要経費算入については法第51条第4項《資産損失の必要経費算入》の規定に準じて取り扱うものとし、法第72条第1項の規定の適用はないものとする。(所得税法基本通達72-1)

という取り扱いがあります。非常にややこしい規程ぶりですが、

令第206条第1項各号《雑損控除の対象となる雑損失の範囲》に掲げる支出の額の全て(つまり「災害」(1号~3号)、「盗難又は横領」(4号)の損失)についてもそれ以外と同様に雑損控除(法第72条1項)ではなくて、経費参入(法第51条4項)を適用する

事を認める、という取り扱いです。

これまで、災害、盗難又は横領の場合、雑損控除できる金額を経費算入する事ができたということです。

追加して決定する税制改正(資産課税)について次回ご紹介します

追加して決定する事項・所得税関連の概要をご紹介しました。追加する税制改正・資産税関連以降については引続き次回の記事でご紹介します。

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