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平成29年5月追記。「所得拡大促進税制」は改正が行われています。下記の3要件の内容に変更がありますのでご留意ください。最新の29年改正の内容はこちらの「平成29年度税制改正の概要 (その5)所得拡大促進税制の改正」でご紹介しています。

前回から引続き平成26年度税制改正大綱についてご紹介します。今回は税制改正大綱前半の「消費税率及び地方消費税率の引上げとそれに伴う対応について」の「所得の拡大」についてです。

所得拡大促進税制の拡充

平成25年度税制改正で所得拡大促進税制が創設されました。平成26年度税制改正の大綱では要件を緩和して制度を拡充しています。

背景には復興特別法人税の前倒し廃止の議論があると言われています。復興特別法人税を前倒しで廃止する事によって、賃金上昇に確実につなげられるのかが大きな論点であり、その一環として所得拡大促進税制を拡充し利用し易くする主旨です。

所得拡大促進税制の概要

現行所得拡大促進税制は、以下の3要件を満たすと

  1. 基準年度(平成25年4月1日以後最初に開始する事業年度の直前の事業年度)と比較して5%以上雇用者給与等支給額が増加(雇用者給与等支給増加割合要件)
  2. 雇用者給与等支給額が前年度以上
  3. 平均給与等支給額比較平均給与等支給額以上(平均給与等支給額要件)

基準年度からの給与等支給増加額(控除対象給与等支給増加額)の10%を説額控除できる制度です。

経済産業省「所得拡大促進税制」の説明が非常にわかり易く、参考になります。

現行所得拡大促進税制からの拡充の概要

平成26年度税制改正の大綱では以下の要件緩和、拡充が予定されています。

要件・対象 従来の制度 平成26年改正
適用期限 平成28年3月31日までの間に開始する事業年度 平成30年3月31日まで2年間延長
雇用者給与等支給増加割合要件 5%以上 2%以上(平成27年4月1日前に開始する適用年度)

3%以上(平成27年4月1日から平成28年3月31日までの間に開始する適用年度)

5%以上(平成28年4月1日から平成30年3月31日までの間に開始する適用年度)
平均給与等支給額に係る要件 平均給与等支給額が比較平均給与等支給額以上であること 継続雇用者に対する平均給与等支給額が比較平均給与等支給額を上回ること


また以下の様に、税制改正前の経過事業年度に遡って緩和された要件が適用できるようになりました。

なお、改正後の制度を適用する場合において、経過事業年度(平成25年4月1日以後に開始し、平成26年4月1日前に終了する事業年度で改正前の制度の適用を受けていない事業年度)において改正後の要件の全てを満たすときは、その経過事業年度について改正後の規定を適用して算出される税額控除相当額を、その適用年度において、その税額控除額に上乗せして法人税額から控除できることとする。(平成26年度税制改正の大綱より)

現行の所得拡大促進税制よりも雇用者給与等支給増加割合要件が緩和され徐々に5%に引き上げれば良い事になりました。また平均給与等支給額要件が継続雇用者を対象とするようになりました。これは定年退職者と新卒採用者がいる場合、相対的に高給である定年退職者により平均給与等支給額が下がってしまう為、適用が難しくなる事に対応する主旨と言われています。

用語の説明

幾つかの用語について内容をご紹介します。

継続雇用者

適用年度及びその前年度において給与等の支給を受けた国内雇用者です。(経済産業省Webより)。

国内雇用者

国内雇用者とは、使用人のうち国内の事業所に勤務する雇用者です。雇用保険一般被保険者でない者も含みます。一方役員の特殊関係者や使用人兼務役員は除かれます。パートや日雇い労働者、アルバイトについても基本的に使用人に含めます(経済産業省Webより)。

雇用者給与等支給額

損金の額に算入される国内雇用者に対する給与等の支給額です。(経済産業省Webより)。

平均給与等支給額

雇用者給与等支給額から日々雇い入れられる者に係る金額を控除した金額を、適用事業年度における給与等の月別支給対象者の数を合計した数で平均した金額をいいます(経済産業省Webより。

比較平均給与等支給額

比較雇用者給与等支給額から日々雇い入れられる者に係る金額を控除した金額を、前事業年度における給与等の月別支給対象者の数を合計した数で平均した金額をいいます(経済産業省Webより)。

比較雇用者給与等支給額

適用事業年度の前事業年度の雇用者給与等支給額をいいます(経済産業省Webより)。

「消費税率及び地方消費税率の引上げとそれに伴う対応」に追加する税制改正について次回ご紹介します

所得拡大促進税制の概要をご紹介しました。「消費税率及び地方消費税率の引上げとそれに伴う対応」に追加する税制改正については引続き次回の記事でご紹介します。

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