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平成26年1月24日追記、「消費税率引上げに伴う資産の譲渡等の 適用税率に関するQ&A」(以下新Q&A)が公表されました。新Q&Aで施行日をまたがる場合の「短期前払費用の特例」の取扱いについて明確化されました。以下、新Q&Aについて適宜加筆しておりますので御留意下さい。

「11/1消費税率引上げ対策セミナー」質疑応答のご紹介記事で不動産賃借の家賃を払う側(店子)が適用する税率について

短期前払費用の特例(基本通達11-3-8)を適用する場合の税率の問題がある

とだけご紹介しました。今回の記事はこの施行日をまたぐ短期前払費用の特例を適用する場合の税率の問題についてご紹介します。

短期前払費用の特例おさらい

前払費用支払時をもって資産等の譲渡の時とできる

先の記事の繰返しですが、短期前払費用を支出時に継続して損金として法人税、所得税の所得計算を行っている場合は、消費税の仕入税額控除の計算においても支払時を資産等の譲渡の日とできます(基本通達11-3-8)

前払費用を3月に支払って3月の損金としている場合、消費税計算上も3月の課税仕入とできると言うことです。

施行日をまたぐ前払費用の仕入控除税額に適用する税率

先日の質疑応答ご紹介記事のとおり前払費用を受取る側の課税売上は「現実に資産の譲渡等を行った時(消基通9-1-27)」ですので、例えば施行日後の平成26年4月の費用を3月に請求した場合、新税率が適用されます。

一方、前払費用を支払う側が短期前払費用の特例を適用し、支払った時(平成26年3月)の課税仕入とした場合の税率はあくまで旧税率です。請求は新税率ですが、施行日前平成26年3月の課税仕入にする以上新税率を適用できないことにご留意ください。

新税率と旧税率の3%分のギャップ解消

平成26年1月24日追記、「消費税率引上げに伴う資産の譲渡等の 適用税率に関するQ&A」(以下新Q&A)が公表されました。新Q&Aで施行日をまたがる場合の「短期前払費用の特例」の取扱いについて明確化されました。以下、新Q&Aについて適宜加筆しておりますので御留意下さい。

請求は新税率(8%)ですが仕入税額控除を受けられるのは旧税率(5%)なので仕入側は3%損をします。前払期間が1ヶ月程度であれば影響も少ないですが、前払費用の対象期間が数ヶ月に及ぶ場合影響も大きくなり、何より3%分仕入税額控除ができないのは不合理です。

平成26年1月24日追記、新Q&A問9において

なお、1年分の保守料金について旧消費税法の規定(旧税率(5%))に基づき仕入税額控除を行う場合には、翌課税期間において、新税率が適用される部分(平成26年4月分から12月分)について5%の税率による仕入対価の返還を受けたものとして処理した上で、改めて新消費税法の規定(新税率(8%))に基づき仕入税額控除を行うこととなります 。

と、明記されました。つまり施行日前の年度で「短期前払費用の特例」により一旦、全額を旧税率で仕入税額控除の計算を行い、施行日後の年度で施行日以後に対応する金額を仕入の返還を受けたものとして処理し、改めて当該金額を新税率で仕入税額控除計算を行う事になります。

3%のギャップを解消するため施行日前に支払った前払費用のうち施行日以後に対応する金額については、仮払金として施行日後に繰延て、施行日後の仕入控除税額に含める事は可能と考えられます。

税務弘報での議論

税務弘報平成25年9月号でもこの議論が掲載されていたのでご紹介します。

4月以降の家賃が8%になっているのなら、法人税ではOKでも、消費税でこれを課税仕入れにすることは不可能なのです。では1~3月分だけ課税仕入れとして処理していいのかというと、オール・オア・ナッシングで全部課税仕入れに持っていくか持っていかないかという選択肢になるはずです。結局、法人税では短期前払費用の適用が受けられても,消費税では仮払金などとして翌期に繰り越さざるを得ません。

この書きぶりでは施行日前も含めて仮払いで施行日後に繰延るようにも読めますが、そうすると旧税率の金額まで施行日後の課税仕入となるので、前払費用のうち施行日以後に対応する金額については、仮払金として施行日後に繰延べる事になると考えられます。

なお、税務弘報では繰延の要件として

仮払金処理が容認される場合は,請求書等で4月分以降は8%として請求されていることが明確な場合ではないかと思われます。

としています。

また、全額を施行日前の課税仕入として旧税率で計算することに対しては

8%課税されている4月分以降の家賃について、短期前払費用の適用を受げていることを理由に5%で控除することはできないものと思われます。

と否定的な見解が述べられています。ただ、私は先に述べた通り消基通11-3-8を素直に当てはめれば理由は立つと思います。消費税計算上も施行日以降の税額につき納税者側が3%不利になりますので税務当局から指摘される事も事実上ないと考えられます。

春日渡辺会計事務所は消費税率引上げに伴うご相談を承ります

春日渡辺会計事務所は文京区の会計士、税理士事務所です。春日渡辺会計事務所では消費税率引上げを始めとする会計・税務に関するご相談をお受けしております。疑問点、御用のある方はお気軽にご連絡下さい。

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