追記。10月3日に国税庁から「総額表示義務の特例措置に関する事例集」が公表されました。財務省のガイドラインをより詳細に具体的に解説しています。こちらについて別の記事を投稿しましたので併せてご参照下さい。
9月10日、公取委、消費者庁、財務省は、パブリックコメントに付していた消費税転嫁対策特別措置法のガイドラインを公表しました。以前の記事では特別措置法の概要とそのガイドラインの案や国会での答弁を参考に実務上の対応をご紹介しました。今回は公表されたガイドラインのうち、総額表示義務の特例を受けるための措置についてご紹介します。
総額表示義務の特例を受けるための誤認されないための措置
財務省のガイドラインが公表され総額表示義務の特例を受けるための誤認されないための措置が定められました。以下に概要をご紹介します。
基本的な考え方
誤認防止措置としての表示は、消費者が商品等を選択する際に、明瞭に認識できる方法で行う必要がある、とされました。 そして明瞭に認識できない場合として以下が例示されました。
1.誤認防止のための表示が、例えば商品等の代金決済を行う段階までなされておらず、消費者が商品等を選択する際には、表示価格が税込価格でないことを認識できない場合
例えば、誤認防止のための表示が、
- 店内のレジ周辺だけで行われている
- 商品カタログの申込用紙だけに記載されている
- インターネットのウェブページにおける決済画面だけに記載されている
ことなどにより、消費者が商品を選択する際に認識できない形で行われている場合が該当するとされました。
2.誤認防止のための表示が、一般消費者にとって見づらいものであるなど、明瞭になされていない場合
表示が明瞭になされているか否かについての考え方は、「総額表示義務に関する消費税法の特例に係る不当景品類及び不当表示防止法の適用除外についての考え方」(平成 25 年9月 10 日消費者庁)の「第2 税込価格が明瞭に表示されているか否かの考え方」と基本的に同様である、とされました。
これは、税抜価格と税込価格を併記する場合(措置法10条3項)に
- 文字の大きさ
- 文字間余白、行間余白
- 背景の色との対照性
によって税抜価格を税込価格と誤認されないようにしなければならないという事を指しています。
誤認防止措置としての表示は、当該表示が主に対象としている消費者にとって明瞭に認識できるよう行う必要がある。例えば、主に走行中の車の中にいる者を対象とした看板等の場合、表示価格が税込価格でないことを歩行者が明瞭に認識できるだけでは不十分であり、走行中の車の中からでも明瞭に認識できるような表示とする必要がある、とされました。
税抜価格のみを表示する場合の誤認防止措置
個々の値札等において税抜価格を明示することが困難である場合の誤認されないための措置として以下が例示されました。
1.個々の値札等において税抜価格であることを明示する例
- ○○○円(税抜き)
- ○○○円(税抜価格)
- ○○○円(税別)
- ○○○円(税別価格)
- ○○○円(本体)
- ○○○円(本体価格)
- ○○○円+税
- ○○○円+消費税
2.店内における掲示等により一括して税抜価格であることを明示する例
- 店内における表示の例個々の値札等においては「○○○円」と税抜価格のみを表示し、別途、店内の消費者が商品等を選択する際に目に付き易い場所に、明瞭に、「当店の価格は全て税抜表示となっています。」といった掲示を行う。
- チラシ、商品カタログ、インターネットのウェブページ等における表示の例チラシ、商品カタログ、インターネットのウェブページ等において、個別の商品価格の部分には「○○○円」と税抜価格のみを表示し、別途、消費者が商品を選択する際に目に付き易い場所に、明瞭に、「本チラシ(本カタログ、本ウェブページ等)の価格は全て税抜表示となっています。」といった表示を行う。
なお、店内等の一部の商品等について税抜価格のみの表示を行う場合には、どの商品等の価格が税抜価格のみの表示となっているのかを明らかにする必要がある、とされました。
旧税率に基づく税込価格等で価格表示されている場合の誤認防止措置
値札の貼替えが間に合わない等の事情により、新税率の適用後においても一時的に旧税率に基づく税込価格の表示が残る場合や、前もって値札の貼替えが行われることにより、新税率の適用前から新税率に基づく税込価格の表示が行われる場合、誤認防止措置としては、例えば以下のような表示が該当するとされました。
1.新税率の適用後においても一時的に旧税率に基づく税込価格の表示が残る場合
個々の値札等においては「○○○円」と旧税率に基づく税込価格を表示し、別途、店内の消費者が商品等を選択する際に目に付き易い場所に、明瞭に、「旧税率(5%)に基づく税込価格を表示している商品については、レジにてあらためて新税率(8%)に基づき精算させていただきます。」といった掲示を行う。
新税率の適用前から新税率に基づく税込価格の表示が行われる場合
個々の値札等においては「○○○円」と新税率に基づく税込価格を表示し、別途、当該商品の置かれている棚等の消費者が商品等を選択する際に目に付き易い場所に、明瞭に、「既に新税率(8%)に基づく税込価格を表示している商品については、3月 31 日まではレジにて5%の税率により精算させていただきます。」といった掲示を行う。
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